days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Walking with Dinosaurs


ウォーキング with ダイナソー』2D日本語吹替え版を娘&妹と鑑賞しました。
1月2日木曜の朝9時10分からの回は30人程の入り。
内4割くらいは子供でした。


7,000万年前の白亜紀後期、所はアラスカ。
草食恐竜パキリノサウルスのリーダーの息子パッチ(原語の声:ジャスティン・ロング、日本語版:木梨憲武)は小柄な体躯だったが、心根は優しい雄だった。
ある日出会った雌のジュニパー(原語版の声:ティヤ・サーカー、日本語版:斉藤千和)と恋に落ちるが、群れは冬の餌場を求めての大移動中にゴルゴサウルスの群れに襲われ、リーダーであるパッチの父を失ってしまう。
やがて性根の悪い兄スカウラー(原語版の声:スカイラー・ストーン、日本語版:森川智之)は群れのリーダーの座を巡る決闘で新たにリーダーとなるが、仲間達を厭わない横暴さとジュニパーを巡る争いで、パッチは追放されてしまう。
親友である鳥類アレクソルニスのお調子者アレックス(原語版:ジョン・レグイザモ、日本語版:中村悠一)が共に居るものの、失意の底に落ちるパッチだったが。


同名BBCドキュメンタリシリーズの人気により、そこから派生した可動する実物大恐竜のアニマトロニクスを使った同名人気ショウに続く、新たなプロジェクト。
それが本映画です。
最新の研究結果を反映したフルCGを用いた精巧な映像は物凄く、これは予告編で大いに期待させられた通りの素晴らしい出来栄え。
ゴルゴサウルスの羽毛が無かったのは、従来のイメージを重視したからなのでしょう。
ともあれ映像は見応えがあり、3Dで観たらもっと凄かったかも知れませんが(3Dシステムズジェームズ・キャメロンの会社がクレジット)、娘が5歳なので今回は2D上映版を観ました。


で、映画ですが、正直に言って大人にはつらかった。
5歳の娘はかなり面白く観られたようだし、クライマクスは「パッチ、頑張れ〜っ!!」と思わず大声で応援していたのだから、楽しい観劇だった模様ですが。
しかし中盤はやや退屈を誘われていたのか、かなりもぞもぞしていました。
内容がお子様向けにも関わらずテンポが悪いので、正直に言って90分弱がいささか長く感じられてしまうのです。
驚異的な映像もそれだけでは1時間半は持たないとの証明でしょう。
予測の付く物語、お子様向けなので、恐ろしい展開の前にはナレーターであるアレックスの声による前口上。
お子様向けなので暴力も殆ど控え目な描写。
お子様向けなので、スリルさえ控え目の起伏の無い演出。
大人には予告篇で十分な内容です。
長編劇場映画とあって製作者達は物語化を行ったのでしょうが、これは大失敗でした。
ディズニーのフルCGアニメ『ダイナソー』は、恐竜の顔も含めた擬人化という点で、全くいけ好かない映画でしたが、「物語を見せる」という点ではまだあちらの方がマシだったというものです。


はっきり言って私が観たかったのは、こんな映画ではありません。
擬人化された、性格付けられた恐竜が言葉を喋る退屈な物語ではなく、もっと荒々しく、食物連鎖が明確で容赦の無い暴力的な映画です。
かつての野生ドキュメンタリ番組『野生の王国』なぞゴールデンタイムの放映なのに、チーターやライオンが大人しいガゼルやシマウマに情け容赦なく襲いかかり、食い荒らす様を見せてくれたではないですか。
あるいは狩った獲物を自分たちの子供達に与える場面さえ、はっきりと見せていたではないですか。
幼い子供が死んでいく様も見せていたではないですか。
これらの映像は子供心に強烈な体験ではでしたが、野生のなんたるかの一面を知ったのも確かです。
私が本作に期待したのは、それの恐竜版でした。
最新の研究を存分に生かした、そして最新技術を駆使した映像で、太古の弱肉強食の世界の只中に観客を放り込むような、そんな映画を観たかったのです。
そもそも元のBBCのシリーズだって疑似ドキュメンタリなので恐竜の擬人化なぞしていなかったし、ショウだってそうでした。
本作には新たな種が登場する度に画面がストップモーションになり、数秒間の解説が入るキマジメさにTV版やショウ版の精神的名残を感じますが、これは全くの別のシロモノ。
本当にお子様ランチ映画になっていて、相当にガッカリしました。


日本版は主人公パッチの幼少から青年期までの声を、木梨憲武が担当。
どう聞いても子供にも青年にも聞こえないので、相当に無理無理な起用です。
聞いていて少々辛かった事も付け加えておきましょう。
期待していた映画だっただけに、相当に評価を低くせざるを得なくて、大変残念でした。


もっとも、映画との評価とは別に、娘と観られたのは楽しい体験でした。
娘も中盤はいささか退屈っぽかったが、結果的にはかなり楽しかったみたいです。
特に後半は前の座席(空席だった)の背もたれにかじりついて立って観ていたし、クライマクスでは「パッチ、頑張れ〜っ!」と大声で応援していたくらいだし。
帰路に寄った実家ではパンフレットを私の父と一緒に見たり、夜帰宅してからは妻に映画の内容を説明しながら、パンフレットを広げて解説したりしていました。
話を聞く限りでは、ちゃんと内容を把握していたようです。



(以下、多少のネタバレ)


映画は冒頭と最後が現代になっていて、カール・アーバン演ずる恐竜発掘家のおじさんが出て来ます。
冒頭では彼が姪の女の子にゴルゴサウルスの牙を1本渡します。
エピローグでは、ゴルゴサウルスの頭部の化石が土中で見つかるのですが、娘曰く「なんでそのはがかけたのか、というおはなしなんだよ」と妻に説明していました。
本編の物語内とエピローグの関連等、時制の組み替えも理解していたようです。
「パキリノサウルスだから、パキ!とゴルゴサウルスのはをおっちゃうの!」等とダジャレ込みの話は、横で聞いていて面白かったのでした (^^;