days of cinema, music and food

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X-Men: Days of Future Past


近所のM田さんとミッドナイトショウでの鑑賞です。
X-MEN:フューチャー&パスト』、観に行ったのは6月6日、公開2週目の金曜でした。


2023年。人類は自らが作ったロボット・センチネル軍団の暴走により、滅亡の危機に瀕していた。元々はミュータントの氾濫が人類を追いやるとの危機感により、科学者オリヴァー・トラスク(ピーター・ディンクレイジ)が作ったものだったのだ。しかしセンチネルはミュータントのみならず、人類に対しても攻撃して来たのだった。ミュータントと人類の共存を唱えるミュータントのリーダー、プロフェッサーX(パトリック・スチュワート)は、かつての親友であり宿敵であるマグニートーイアン・マッケラン)と手を組み、事態を阻止しようとしていた。そして彼らは、キティ・ブライド(エレン・ペイジ)の能力を使ってウルヴァリンヒュー・ジャックマン)の魂をトラスクが開発開始をする前の1973に送り込む事になる。過去に送り込まれたウルヴァリンは、反目しあう若き日のプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)とマグニートーミヒャエル・ファスベンダー)に出会うが。


前作『X-MEN:ファースト・クラス』は、X-MENシリーズのリブート編として彼らの若き日を描いた作品でした。しかもシリーズ中で1番面白く、1番出来が良かったのです。監督と脚本(ジェーン・ゴールドマンと共同)を担当したマシュー・ヴォーンは、『キック・アス』に続いての金星でした。ですから本作でスケジュール上の都合でヴォーンが降板し、過去2作品を担当していたブライアン・シンガーが再登板とのニュースを聞いたときには、落胆したものでした。


いや、シンガーはダメな監督ではないのです。むしろ暗い情感を根底に湛えたシリアスな作風と、強烈な緊張感の持続という点では、優れた監督だと思います。出世作である『ユージュアル・サスペクツ』など最たるものでしょう。でもその資質は、燃えるアクションが重視されるアメコミ映画とは合っていないように思えたのです。『X-メン』『X-MEN2』『スーパーマン リターンズ』などをご覧になれば納得されるでしょう。しかしシンガーの前作である家族向けファンタスティック・アドベンチャー映画にして初の3D作品だった『ジャックと天空の巨人』を観て、ちょっと考え直しました。明るく爽快感のある特撮全開の映画もいけるのでは?と。


長々書きましたが、要は本作『X-MEN:フューチャー&パスト』は、シンガーのアメコミ映画としてもっとも成功した作品だと言いたいのです。2つの時代をタイムリミットのある危機的状況としてスリリングに同時進行に描き、人物の暗い情念を織り交ぜ、つまりはシンガーの得意なスリリングなドラマ映画として成立していたのです。ですから時にケレンのある奇想天外なアクション(特に前半に用意されている、クイックシルバー大活躍の場面)によって映画にメリハリがつき、非常に面白いものとなっていました。文字通り過去のキャスト総出演映画で嬉しいのだけど、ウルヴァリン狂言回しに、マグニートー、プロフェッサーX、そしてミスティーク(ジェニファー・ローレンス)を巡るドラマを、映画の中心に据えたのが成功しています。シンガーの演出も力の入ったものでしたが、サイモン・キンバーグによる脚本がとても良かったと思います。


先日観て感心させられた『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』といい、本作といい、アメコミ映画は円熟期に入りました。大人も子供も楽しめる特撮満載アクションではなく、しっかりしたテーマをがっちり描きつつ、シリアスな大人向けの娯楽映画に仕立ててあって。


過去作品、特に『ファースト・クラス』を観ていないと分かりにくいという欠点はありますが、過去のシリーズが苦手だった人でも、これはお勧め出来る映画です。