days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Jason Bourne


ジェイソン・ボーン』ミッドナイトショウ鑑賞with近所のM田さん。23時10分からの回はそこそこの入りで、やはり人気シリーズなんですな。


孤高の元CIAの暗殺者ジェイソン・ボーンマット・デイモン)が、失われた自らの過去を探す物語。彼を排除しようとするCIA長官(トミー・リー・ジョーンズ)と、若く野心的なCIA局員(アリシア・ヴィキャンデル)に、長官の意を汲んで邪魔者を次々暗殺していく殺し屋(ヴァンサン・カッセル)と、役者は揃っています。旧3部作で徐々に出番が増えていったCIA局員ニッキー・パーソンズジュリア・スタイルズ)も登場し、過去作品との橋渡しもしてくれます。監督は傑作となったシリーズ第2作目『ボーン・スプレマシー』及び第3作目『ボーン・アルティメイタム』のポール・グリーングラス。最近知ったのですが、評価が高かった過去3作(ボーンは名前しか出て来ない『ボーン・レガシー』を除く)は、撮影現場での混乱や脚本の決定稿が無いまま撮影に突入していたりで、大変な難産だったそうです。あんなのはもう御免だと、今回は脚本を固めてから撮影に入ったようですが、興味深いことに物語性はより希薄になっていました。思い返すと、冒頭から終始ハイテンションでめまぐるしかった『アルティメイタム』は、今でこそ傑作の誉れ高いものの、実は物語はそんなに無い映画でした。粘って粘って引っ張って引っ張ってというサスペンスと、その結果の爆発的アクションが効果的で、その1シークエンス、1シークエンスに物凄く力を入れていて面白い、でも物語としてはかなり短い。そんな映画だったのです。それが大成功したから、本作のより物語性が希薄な作りなのも意図したものなのでしょう。


『スプレマシー』『アルティメイタム』同様に、手持ち撮影の小刻み編集の映像スタイルと、ジョン・パウエルのメロディは無くともスリリングなスコアでもって、「見せる」映画にはなっています。ボーンは台詞を殆ど削られたかのように殆ど喋らず、常にしかめ面で黙々と早足で動く様がカッコい良い。終盤にはラスヴェガスの大通りを舞台にした、笑ってしまうほどに呆れんばかりの大々カーアクションも用意されています。でも『アルティメイタム』に満足度で及ばないのは、ここぞとばかりの物凄いシークエンスが少ないから。本作のカーアクションは確かに素晴らしいし、迫力満点です。でも『アルティメイタム』の序盤に用意された駅の追撃戦、中盤のタンジールを舞台にした追撃戦にあった、殺気すら感じられた緊張感には至りません。むしろ製作陣の余裕すら感じてしまうのでした。


物語はこのシリーズ恒例の「父を倒す」もの。でも綺麗に完結していた過去3部作に対して蛇足感は否めず、そろそろ新機軸が欲しいところ。そのワンパターンも満足度を下げた原因でしょう。次回作をやるのならそろそろ新展開を望みたいものです。その為のアリシア・ヴィキャンデル登板なのかも。白いものが目立ってきた旧世代ボーン対、新世代ヴィキャンデルの対決があるならば面白いかも知れないですね。


エンドクレジットで気付いたのですが、相変わらずこのシリーズには電通(とフジテレビ)が関係しているのですな。ボーンが電通に無双モードで乗り込み、腐りに腐った組織の秘密を暴露して、且つバッタバッタと敵を倒して壊滅させる!…という物語を夢想してしまいましたよ。それはそれで、単純にスカッとするから見てみたいのですが (^^;