days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Our Kind of Traitor


われらが背きし者』鑑賞。


夫婦関係が破綻している大学教授のペリー(ユアン・マクレガー)と、その妻で弁護士ゲイル(ナオミ・ハリス)は、休暇で訪れているモロッコで偶然知り合ったロシアン・ギャングの大物ディマ(ステラン・スカルスガルド)から、ある願いをされる。組織の資金洗浄データが入ったUSBをMI6に渡して、自分の家族の亡命を受け入れるよう伝えて欲しい、というのだ。ディマとその家族の命は組織に狙われていて風前の灯。2人は危険な亡命劇に巻き込まれていく。


近年、ジョン・ル・カレ原作の映像化が盛んだが、これもその内の1本。Amazonプライムで見られるBBCドラマ『ナイト・マネジャー』のスサンネ・ビアに続いて、本作の監督スザンナ・ホワイトと女性監督だ。ジョン・ル・カレものの映画/ドラマを立て続けに女性監督が手掛けているのは興味深い。「スパイスリラー=男性監督のもの」という図式を崩しているという、歓迎すべき兆候だ。共にAmazon絡みなのは偶然なのかな。


冒頭から淀みなく緊張が続くので、これはかなり良いな!と思っていたら、終盤に失速したのが残念。だが信義のために行動する男女らの気高さは表現されているし、役者陣も熱演している。近年のジョン・ル・カレ原作映像作品は、総じて出来が悪くないね。ステラン・スカルスガルドは久々の大役かな。豪放磊落で家族思いという、魅力的なロシアン・ギャングの大物を演じていて良かった。これは彼の映画だろう。マクレガーとナオミ・ハリスも良かったけどね。マクレガーはここでもスカルスガルドの引き立て役。自分が目立たず相手を立てるという、異色のスターだ。次期ボンド候補とも言われているダミアン・ルイスも、MI6の熱血漢で印象に残る。


アンソニー・ドッド・マントルの撮影は、フィルターや反射を多用していてちょっとうるさい。これは好みが別れそう。でも場面によってはそのスタイルが、きちんと緊張感の盛り上げに貢献していた。


ディマの妻役はサスキア・リーヴス! 『クローズ・マイ・アイズ』『橋の上の貴婦人』と立て続けに公開されていたので観に行ったのが20数年前かぁ。特に後者は良い映画だった。懐かしいなぁ。てか『クローズ・マイ・アイズ』のサスキア・リーヴスの相手役(つまり弟役)ってクライヴ・オーウェンだったんだ! ちょっとびっくりだぁ。