大リーグ二階席
スティーブン・キングなどの翻訳者として、映画評論家として(『週刊文春』の映画採点コーナーにも寄稿してますね)著名な、芝山幹郎の大リーグ評論集『大リーグ二階席』を読み終えました。
19世紀から現代---そう、イチローなど---までの大リーグのエピソードを綴り、筆者のスポーツへの愛、大リーグへの愛を謳った好著です。
最高の技術と最低の人格を併せ持った「球聖」タイ・カッブ。
マリリン・モンローと結婚したこともある、56試合連続安打のジョー・ディマジオ。
最後の4割バッター、テッド・ウィリアムス。
こういった歴史に残る選手ばかりではなく、世紀のボーンヘッドから奇行の目立つ選手まで、笑いと郷愁を誘う内容です。
過去の記録を紐解くだけでなく、この人独自の言葉の接着剤というか言い回しは健在。
記録と戯れ、語彙と戯れる姿は、凛々しささえ漂っています。
そして鋭い眼光。
四球を選ばずにヒットを打ち続けるイチローに(四球を選んで打数を減らせば、それだけ高打率を維持しやすいのに、そうしない)狂気を見出し、そのイチローが大リーグに登場した当初から過去の埋もれた大選手たちの記録を引っ張り出す慧眼は素晴らしい。
スポーツ好き、文学好きにお薦めの1冊です。
- 作者: 芝山幹郎
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2005/05
- メディア: 単行本
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