days of cinema, music and food

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クリスマス前の悪夢から人形アニメに思いを馳せ


久々に『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』をLDで観直しました。


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ナイトメアー・ビフォア・クリスマス コレクターズ・エディション [DVD]


ティム・バートン自身によるキャラクター・デザインもさることながら、細部にまで手の込んだモデル・アニメーションの魅力が本当に素晴らしい。私がこの映画をこよなく愛するのは、その点にあります。


私にとってレイ・ハリーハウゼンとモデル・アニメーションは、子供時代の小冒険の想い出とも重なるのです。


モデル・アニメーションの巨匠ハリーハウゼンに憧れていた私は、小学生のときはモデル・アニメーターになりたがっていました。小学生の卒業アルバムでも、確かそんなことを書いていました。
まぁ今にして思うと、飽きっぽく根気の無い私には、到底務まらないであろう芸術的職業ではありましたが。
小学6年の夏休みには、弟と友人の3人で都心まで出掛け(親の同伴無しでの都心行きは初めて!)、SF映画雑誌『スターログ』の広告で知った東大SF・アニメーション研究会主催のモデルアニメーション作品上映会に行ったこともあります。


2日間の上映会での目当ては、ハリーハウゼンの作品群です。


ゴジラの元ネタ『原始怪獣現わる』(1953)、予算不足で足が5本の巨大ダコが暴れる『水爆と深海の怪物』(1955)、空飛ぶ円盤までモデル・アニメーションの『空飛ぶ円盤地球を攻撃す』(1956)、金星竜イーマの造形が素晴らしい『地球へ2000万マイル』(1957)、そして個人的には彼の(映画としては)最高傑作の『シンバッド7回目の航海』(1958)を観ることが出来ました。
字幕入りヴィデオなんぞ無い時代ですから、字幕無しの16mm上映です。
それでも、完全版、短縮版織り交ぜながらの上映は本当に楽しかった。観る前から話を知っていた作品が大多数というのもありましたが、特撮中心の映画なので台詞が分からずとも内容の理解の妨げにはなっていなかったのです。


アニメーターの森まさあき氏の講演も、かなりマニアックでしたが、かなり面白かった。
笑うということはそれ相当の知識を持っていたのでしょうから、アタマでっかちの小学生だったのですねぇ。


モデル・アニメーションの魅力は、無機物である造形物が動き出す点にあります。
それにあの独特のカクカクした動き。
その動きが好き嫌いがはっきり分かれる点でも、特異な特撮かも知れません。


ハリーハウゼンのアニメーションは、高度な合成技術と振り付けによる人間との共演にもありましたが、やはり独創的なデザインでリアルな造形の怪物たちが、精密に動く様にあったように思えます。丁寧で細かい動きと性格描写では、やはり他を圧倒するものがありました。


それと同時に、冷徹な視点も他のアニメーターに無いものでした。
あれは今思うと、神が自ら作り出した生物を思いのままにする視線だったのかも知れません。


ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』には、そういった視線がありません。
そこにあるのは、はぐれ者たちへの優しい眼差しです。
ダニー・エルフマン自作自演の歌も楽しい!
ヘンと思われても、個性って素晴らしいし、楽しい。
そんなハッピーな映画に仕上がっていて、そこが未だに支持され続ける理由でもあるように思えます。



もっともこの作品でバートンとエルフマンは仲違いし、バートン製作&セリック監督、ロアルド・ダール原作の『ジャイアント・ピーチ』はランディ・ニューマンが、ジョニー・デップ快演の『エド・ウッド』はハワード・ショアが音楽を担当することになります。
エド・ウッド』のショアの曲がエルフマン・タッチになっていたのを聴くと、やはりバートン作品に必要なのはエルフマンの曲だと、バートン自身の声明にも受け取れます。
その後、バートンとエルフマンは仲直りして、コンビを続けて今に至っている訳です。


さ、このコンビの新作『コープス・ブライド』にも期待しましょう。