days of cinema, music and food

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V for Vendetta


アラン・ムーア原作、デイヴィッド・ロイド画のグラフィック・ノヴェル『Vフォー・ヴェンデッタ』を読み終わりました。


2,500円もしましたが、300ページ弱のオールカラーで、しかも余り売れるとは言えない翻訳コミックですから、この値段も致し方ないでしょう。


アラン・ムーアはイギリスのコミック界の大物、映画化されたものには『フロム・ヘル』、『リーグ・オブ・レジェンド』などがありますが、どれも作者本人は気に入っていないようです。『フロム・ヘル』はともかく、『リーグ〜』は映画として面白くなかったですね。切り裂きジャックものの『フロム・ヘル』は、腐敗したヴィクトリア朝を描くのがテーマだったのに、映画版は犯人探しが眼目となっていたので、ムーアがお冠だったとか。エレファント・マンまで登場するという情報量たっぷりという原作は、是非とも翻訳されてもらいたいものです。


さてご存知の通り、本書は映画化されています。映画を観て後半の展開に首を捻ったものでしたが、実は原作にほぼ忠実な展開でした。が、圧制に対して蜂起する民衆のパワーを感動的に描こうとしていた映画版に比べ、原作はかなり冷めたもの。しかもラストはまるで違う展開になっていて、ナルホドと思わせます。
これだったら原作の方が良いかも。
比較すると、映画版は感傷的と言わざるを得ません。


ただムーア自身がお怒りで、映画版からクレジットを外させたというのは、まぁ作者だから仕方ないでしょうね。ロイドの方はお気に入りだったらしく、クレジットに名前が残っていますから。


で、このグラフィック・ノヴェル、海外のコミックの例に漏れず、ネーム(台詞)がびっしり。
読むのに時間が掛かります。
ですから私は1日1〜2話を目安に、少しずつ読み進めていきました。
それも終幕では一気に読んでしまいましたが、それも作者たちのパワーによるものでしょう。
そのパワーは、1980年代のサッチャー政権に対する批判として生まれたという成り立ちも関係があるのかも知れません。