days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Next


マウス・タウン ロディとリタの大冒険』の次に機内上映で観たのはSFアクション/スリラー『NEXT ネクスト』です。
監督はリー・タマホリ、原作はフィリップ・K・ディックの『ゴールデン・マン』。
主演はニコラス・ケイジジュリアン・ムーアジェシカ・ビールトーマス・クレッチマン
これも吹き替え版での鑑賞となりました。


ラスヴェガスでちょっとした手品ショーに出演しているフランクは、実は予知能力者。
その能力を手品として披露し、時にはカジノで使って生活している男だ。
しかしその能力には限界があった。
自分に関することしか、しかも2分先までしか分からないのだ。
その能力に目を付けたのがFBI捜査官フェリス。
彼女はテロ組織がアメリカに持ち込んだ核爆発テロを未然に防ぐ為に、フランクの能力を使おうとする。
だがフランクはそれを拒否し逃亡。
彼が向かったのはとあるダイナー。
唯一、2分よりもずっと先の未来で出会うリズためだったのだ。


フランクが先のことが分かるので、その能力を生かした逃亡場面が面白い。
そんなに都合良く読めるのかいな、と思いますが、タイミング良く難関を突破していく様は中々爽快です。
ニコラス・ケイジも風采の冴えない男を演じていて、ヘタに格好付けようとしていません。
本作では製作も担当しているので、彼としては力の入った作品なのでしょう。


FBI捜査官役のジュリアン・ムーアは、キビキビとした演技が心地良い。
ハンニバル』で披露した銃さばきも堂に入ったものです。
ジェシカ・ビールは善良な女性を演じていて、美しい。


と、中々面白い要素がたくさん入っているのに、そもそも脚本の方向性に問題があるように思えました。
本来ならばフランクが核テロ捜査を協力していくスリラーになるのだろうに、ヤダヤダと逃げ回る彼を主人公としている為に、どうにも感情移入し辛い。
いや、現実にはそうなるかも知れませんが、これは娯楽映画なのです。
リアル志向の人間ドラマ、主人公の苦悩を描く映画ならばともかく、スリルとアクションが主眼の娯楽映画でこれはまずい。
しかもフランクの逃亡劇と、核テロを追うフェリスの2本柱に話が分散してしまっていて、散漫な印象を残します。
テロ組織がフランクが邪魔者となりうると排除しようとする展開にもなってきますが、どうも脚本の構成に問題がありました。


後半、何故かフランクは2分よりも先まで見通せるようになりますが、その理由も不明。
そもそも何で未来に出会うリズを見られたのか、その説明もすっ飛ばしです。
ご都合主義そのものの映画は、スリルが失速してしまうのも当然でしょう。


読み捨て漫画のような映画。
観ている間は飽きさせない点は評価出来ますが、それだけの映画でもあります。
劇場で観るまでもなく、レンタルで十分な出来栄え。
いや、個人的にはこういうのも嫌いではないんですけれどもね。