days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

What's the Worst That Could Happen?


先日ご紹介したドナルド・E・ウェストレイクによる不運な泥棒ジョン・ドートマンダー・シリーズの第9作目『最高の悪運』を読み終えました。


押し入った大富豪邸宅は無人の筈なのに持ち主が居て、しかも警察に通報されて捕まったばかりか、同居人メイからもらった大事な指輪を富豪に取られてしまうという、散々な出だし。
何とか脱走したドートマンダーは、コケにされて怒り、富豪の行く先々で指輪を取り戻そうとするが、金目のものは盗めても、ことごとくタイミングがずれて富豪に出くわさず。
一方の富豪もなぜか自分の行く先々で泥棒に入られて気になりだし・・・と、相変わらず手の込んだ展開で笑わせてくれます。
ドートマンダーの仲間も殆ど勢ぞろいで、たかが指輪1個を盗むのに話がどんどん大きくなっていくのも面白い。


本作はマーティン・ローレンスがドートマンダー、大富豪をダニー・デヴィートで映画化されていて、日本未公開も『ビッグ・マネー』のタイトルでDVDが出ています。
しかし余り評判は宜しくない様子。
何本か映画になっているこのシリーズも、評判が良いのは第1作の『ホット・ロック』(ロバート・レッドフォード主演!)くらいです。
近年はジョージ・クルーニー主演のオールスター映画『オーシャンズ11』などが作られて人気を博しているのだから、このシリーズも誰かがきちんと作ってくれれば良い映画になりそうなものなのに、と思ってしまいました。
オーシャンズ・シリーズほどでなくとも、賑やかで個性的なキャストで、きちんとした脚本で映画化してくれないものでしょうか。
それもあざといドタバタでなく、本書のようにプロットで面白がらせてくれるような映画が良いです。


本書はプロットだけでなく、言い回しやキャラクター作り、台詞回しなども可笑しい。
ウェストレイクらしい名人芸。
ラストも良い感じ。
上手い!


最高の悪運 (ミステリアス・プレス文庫)

最高の悪運 (ミステリアス・プレス文庫)