days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Cinefex #5 Rick Baker: Maker of Monsters Mastae of the Apes


今週はひどい風邪で寝込んでしまっているので、軽い読み物、それも読みなれたものが良いです。
なのでまたまた『シネフェックス』日本版の第5号を読みました。
バンダイからの発行日は1984年7月1日。
買ったのは渋谷東急プラザ紀伊国屋書店です。
当時は近所の書店ではここにしか売っていませんでした。
買ってから、何度読んだことか。


これがまるまるリック・ベイカー特集号、という貴重な本です。
今のところ、これ以外にリック・ベイカーについてまとまった読み物は出ていないのではないでしょうか。


表紙は『グレイストーク −類人猿の王者− ターザンの伝説』。
裏表紙はアカデミー賞で設立されたばかりのメイクアップ部門で受賞した、ホラーコメディ『狼男アメリカン』。

『シネフェックス』でいつも感心するのは、表紙に選択している写真のセンス。
ニクいですね。


イカーが幼少期からメイクアップに興味を持ち、大人しい性格でありながらも、自分が興味を持ったことについて粘り強く探求していく様が書かれています。
盟友ジョン・ランディスとの出会い、ラリー・コーエンの『悪魔の赤ちゃん』、ゾンビ映画の亜種とも呼べる『溶解人間』などといったB級ホラー映画(後者はツマらんかったですな)、『キングコング』での辛い体験、『スター・ウォーズ』でのカンティーナ酒場でのエイリアン作り、グロテスクでシュールな『ビデオドローム』、そしてランディスとのコンビによる衝撃的な変身場面を創造した『狼男アメリカン』・・・。


その間も、師匠ディック・スミスや、学生時代からベイカーの工房に来ていたロブ・ボーティンについても触れられています。
ボーティンの『遊星からの物体X』についての好意的コメントも、ベイカーらしい。
そして最後は、マイケル・ジャクソンの『スリラー』で終わっています。


当然ながら本書は1980年代半ばまでの活躍しかありませんが、当時のSFXブーム、特殊メイク・ブームの後も、変わらず一線で活躍しているメイクアップ・アーティストって意外に少ないのですよね。
小手先の派手なメイクだけではなく、地道な探究心と向上心を絶やさない、穏やかなベイカーだからこそ、未だに売れっ子で、尊敬されているのだと思います。


技術面だけではなく、そういった人柄が読み取れる読み物となっていて、古書店で見つけたら是非手に取ってみて下さい。