days of cinema, music and food

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世襲議員のからくり


最近読んで面白かった本のご紹介です。
先日ご紹介した気鋭のジャーナリスト上杉隆
その新刊『世襲議員のからくり』は、読んで合点がいくことの多い本でした。


週刊文春』を中心に、世襲議員に関する発言をちょくちょく載せている著者ですが、本書はその中途報告及び結論とも呼ぶべき本になっています。
安部晋三福田康夫と2代続けての無責任放り出し総理大臣を生み出した土壌として、世襲議員ならではの軟弱さに原因を求めています。
そして自民党現議員の世襲率が40%にも達し、アメリカの5%とも比較してその数字を異常とし、同じく議院内閣制を敷いているイギリスでは、揉まれて当選するので世襲議員が少ないと述べ、現在の政治の弱体化の理由が世襲議員にあると明快に結論付けています。
無論、他にも要因はありましょうが、数々の材料を元に検証を行っており、説得力は抜群。


今の首相である決断出来ない甘やかされた裸の王・麻生太郎も、世襲議員ですし、彼らのプライドの高さに反比例して中身の無さ、軟弱さにはほとほと呆れますが、私見では政治は大衆のレヴェルを表わすもの。
レヴェルの低い選挙民によって選ばれた議員ですから、レヴェルが低いのは当然でしょう。
国会議員の役目は国政であって、地元に利権をもたらすものではない。
地元に利権をもたらしてもらいたいのであれば、地方自治体内でなんとかするのが筋な筈。
その点を勘違いしている人が多いから、べったり癒着した政治の構図が出来上がるのです。


話はそれましたが、本書の最後には、国民が明確な意思でもって選挙に臨めば、現在の政治状況も変えられるとし、希望を持たせています。
民主党が政権を取っても、そんなに上手くいかないと思いますが、民主と自民とで切磋琢磨してもらえば結構なこと。
気の長い話になりますが、政治は急には進歩しない。
本当は急な進歩が無いと、今後様々な危機に対して対処出来ないとは思いますが、今の政治及び選挙民にそれを望むのは酷でしょう。
とりあえず自民党を落とすところから始めないと、何も変わりません。


世襲議員のからくり (文春新書)

世襲議員のからくり (文春新書)