days of cinema, music and food

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『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』&『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』


会社で貸してもらった2冊の本、武田邦彦の『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』および『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』を読み終えました。
昨今のエコならば何でも良い、許されるといった風潮に疑問を抱いていた身としては、かなり納得すると同時に、色々と考えさせられる本でした。
以前、話題になっていただけにご存知の方も多いでしょう。


世間に氾濫しているニセの情報、つまり

  • 今後100年間で地球の平均気温が6.4℃上昇する(6.4℃は最低最悪の予想であり、平均ならば1.8℃である)
  • 京都議定書を遵守すべきである(それくらいでは温暖化は防げないし、そもそも国際政治の駆け引きである)
  • 南極の温暖化(実際には南極圏の気温は低下している)
  • 北極の氷が溶けると水位が上がる(アルキメデスの原理により、水位は変わらない)
  • ダイオキシンは猛毒である(その毒性はニキビが出る程度)
  • リサイクルの回収率を上げて環境を良くしよう(回収率を上げれば、その分石油の消費が進むので環境悪化に繋がる)

といった諸説に対し、逐一反証していきます。
著者は具体的な数字を挙げ、理論を述べ、世間にはびこっているリサイクル=地球に優しい説を崩します。


環境問題がやっかいなのは、目の前に差し迫った危機として実感しにくいので、行動に移しづらいということ。
それと研究者によって言うことがまちまちであり、具体的にどうすれば良いのかが分からないことにあります。
この本では、結局地球に一番優しいのは、昔のように不便な生活を送ることである、と結論付けています。
この結論は非常に分かりやすい。
地球にとって一番害悪なのは、数が増えすぎた人間の存在であるのだから、地球の為には活動を抑えるしかないというのはその通りでしょう。
実際には、個人がどこまで不便な生活を我慢出来るか、私自身を省みても甚だ疑問ではあります。


こういった本の場合、元データの数字をどこまで信用するかによって、内容への理解や納得度も変わって来ます。
実際、この本の中で触れられている「日本の食料自給率は4割」の「4割」という数字は果たして合っているのか。
世間一般にはそれでまかり通っていますが、廃棄されるコンビニ弁当等を加味して計算すると、実際には5割。
世界基準で計算すると6割以上、という話もあります。
では何で国内では4割などという数字になるかというと、役所が「食料自給率を上げよう」というキャンペーン費用として、予算を確保するに出しているとか。
そんな話もあるというのに、本書ではその数字の引用を、恐らく常識として何の気なしに使ったのでしょう。
要はこの本へのケチではなく、資料として挙げられる数字をどこまで信用するか、という事です。
それは本書にも当てはまります。
となると、他の本も色々と読んだ方が良い、という事になります。
そういった意味で、環境問題への取っ掛かりとして面白い本だし、お薦めだと思います。


環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか2 (Yosensha Paperbacks)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか2 (Yosensha Paperbacks)

さらなる続編も出ていました。

環境問題はなぜウソがまかり通るのか3 (Yosensha Paperbacks)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか3 (Yosensha Paperbacks)