days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

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諸般の事情で更新をさぼっていたら、いつの間にか250000ヒットを記録していました(6/18明け方現在)。
これも巡回して下さっている皆様のお陰です。
またぼちぼち更新して行く予定ですので、これからも宜しくお願いします。


さて先日書いたエスの大傑作ライヴ・アルバム『イエスソングス』のロジャー・ディーンのアートワークを見て、久々に彼の作品集を見返してみました。
私が持っているのは1987年に出版された邦訳版。
版元は日本テレビ放送網
どういう経緯か分かりませんが、日本語版を出してくれて有り難い。
本書は誕生祝いとして両親にシド・ミードの画集『Sentinel』と共に買ってもらったものです。
幸運な中学生だったと言うべきでしょう。


私がディーンを知ったのは、SF専門誌『スターログ』の記事でした。
同誌主宰のSFアート大賞審査員として顔写真とコメントが載っていて、そこで名前を知ったのです。
どんな絵を描く人が知ったのはその後となります。
彼の画にある抒情性や静謐さに触れると、心が落ち着きますね。


ディーンというと風景画が多いのですが、こんなメカ系もあります。


私のお気に入りの1つ、タコの絵。


ヴァージンのレーベル・デザイン。


お気に入りの1つ。アナグマの絵。


エスのロゴ・デザイン。


エスのライヴ・ステージのデザインもディーンが担当。

その建設と実際の効果。


原書が1975年とあって、1980年代以降のエイジアのアルバム・ジャケット等が載っていないのもちょっと残念。
ですがヴァージン・レコード初期のレーベル・デザインはもちろん、イエス関連のアートワークが充実しています。
主に水彩画が多かった頃のものなので、中国の水墨画を思わせる彼独自の風景やタッチが十分楽しめます。
そう言えば、ジェームズ・キャメロンの『アバター』公開時、宙に浮く巨大な岩々の光景がディーンの絵にそっくり、と一部で話題になりましたね。
えぇ、こうして見直してもディーンが繰り返し使うモチーフにそっくりですとも。
キャメロンの発言は確認していませんが、影響を受けたのは明らかではないでしょうか。


本書の版サイズは30 cm × 30 cm。
LPレコードと同じ大きさなんですね。
レコード・ジャケットに名作が多い彼の作品集に相応しく、またそのアートワークの数々を原寸大で楽しめます。
この配慮は嬉しい。
その原寸大で見ると、ディーンに限らず、今のCDよりもLP時代の方が面白いアートワークが多かったと改めて気付かされます。
やはり大きい事はデザインにも自由が効きますし、それだけ客の目を引く手段も多いのですから。
顔のアップでも良いし、風景画でも良いし。
一方、CDになると版サイズが小さくなるので、小さくでもインパクトのあるものとなると、どうしても顔や対象物のアップ中心になってしまいます。
アップ中心で画としてはつまらない場合が多いテレビに対して、アップもロングもインパクトのある画を作り出せる映画、という関係と同じですよね。
それにほら、LD時代はジャケ買いをする事があっても、DVD-VIDEO以降はそんな事も無くなったでしょう?
キャストの顔写真中心のコラージュばかり増えてしまい、面白くありません。
そんな事も想起させてくれる本書でした。


この作品集を見ると、ディーンの作品を知る事が出来て良かったと思えます。
本書以降のタッチ変更後のも画もそれはそれで好きなので、そちらが収録されている作品集も見たくなりました。

ヴューズ

ヴューズ


こちらにはタッチ変更後の作品も多数収録されているようです。