官僚の責任 ※7/30追記あり
経産省の現役キャリア官僚、古賀茂明の著書を初めて読んでみました。
この人、バリバリの改革派ゆえに省内で干され、「官房付」という実質仕事無し状態にされているのでも、週刊誌等で話題の人ですね。
国家公務員なので退職に応じるかどうかは本人次第。
それを古賀が断り、海江田万里経産相に面会を申し込むも逃げられ続けるという事態になっていました。
古賀としては「仕事を下さい」という要求のようですが、国会で海江田が野党の追及を受けて会談すると発言。
つい先日、とうとう海江田大臣との会談が実現しましたが、そのときの生々しい様子は下記ニュースサイトに古賀本人のインタヴューとして載っています。
古賀本人は天下り禁止論者。
よって本人も天下りする気は無く、退官すれば無職。
ですがそんなのは怖くもなんとも無いという人のようです。
そんな人が現代の官僚社会や官僚の思考回路を書き、「霞ヶ関は人材の墓場」とばっさり切り捨てるのが本書です。
読んで驚くのが、官僚の思考や組織について痛烈に記述している事。
日本の官僚はよく「優秀だ」と言われますが、本当なのだろうか、と。
いや、そうではないというのが著者の主張です。
民間では考えられない生ぬるい体質に驚くと同時に、組織のあり方故の腐敗にも納得してしまいました。
最初は国のためと思って官僚になるものの、徐々に責任を取らず自分が所属する省庁の利権確保第一に取り込まれてしまうメカニズムが生々しく書かれています。
書かれている事全てに同意する訳ではありませんが、説得力のある箇所がとても多い。
白眉は最終章の日本の改革案。
官僚だけではなく多くの読者にも向かって来るその中身に、「痛みを伴う改革」の本質があります。
そう、著者のぶった切る歯は、読者にも向いているのです。
今読むべき、お勧めの本です。
- 作者: 古賀茂明
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2011/07/16
- メディア: 新書
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※7/30 追記:こちらも興味深い指摘が多々ありますので、ご興味ありましたら是非どうぞ。