Under the Dome: vol.1
スティーヴン・キングの大長編小説『アンダー・ザ・ドーム』上巻を、ようやっと読み終えました。
普通、拙blogで本をご紹介する場合は、全て読了後に感想を書いています。
ですが今回は特例です。
長編小説を読むのと映画を観るのとは、結婚に踏み切るのと似ています。
ある程度の勢いが必要で、一旦途中下車すると最後まで「乗り気」でいるのは難しい。
隙間風が吹いてしまうと完了させる気も薄れてしまいます。
本書の場合、合間に他に数冊浮気していたのにも関わらず、途中で放り投げ出さず、他の本を読み終わる度に戻って来られた稀有な本でした。
ある日突然、田舎の小さな町まるごとが透明なドームに覆われ、外界と隔絶された状況です。
その小世界での人々の恐れ、憎しみ、怒り、悲しみ、安堵、優しさ、臆病、勇気、好奇心、策略、陰謀に、また触れたいと思ったから、何度他の本を読んでも戻って来られました。
主人公だけでも10人は下らないという群像小説なのに、登場人物は皆個性豊かで描き分けも明確です。
あなたの周りに実際にあるように、穏やかで目立たない人も居れば、強烈な個性を振りまく輩もいます。
キングの小説の常であるように、作家の意図とは別に、人物が勝手に物語を紡ぎ出していたのではないかと想像されるタッチ。
それが活き活きとした小説となった要因の1つでしょう。
キングはJ・J・エイブラムスのTVシリーズ『LOST』に影響を受けて、本書を執筆したそうです。
私は『LOST』を観た事はありませんが、その『LOST』はまた、キング初期の大長編群像小説『ザ・スタンド』の影響を受けたと、エイブラムスは言っています。
上巻だけでも二段組、700ページ弱の大ヴォリューム。
でも読者は体力を要求される事はありません。
キングの語りのテンポに乗せられるだけ。
それで十分。
初期作品の傑作群…そう、『シャイニング』『デッドゾーン』『ミザリー』『IT』…のような、軽快且つリズミカルなビートに身を委ねれば良いのです。
さぁ、下巻に進んで、再び町の人々と共に時間を過ごしましょう。
暗闇の先はあるのか。
希望はあるのか。
善は勝つのか。
それとも、悪はのさばったままなのか。
町の行く末を見つめましょう。
たとえ混沌と破壊が待ち受けていたとしても。
- 作者: スティーヴン・キング,白石 朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/04/28
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