days of cinema, music and food

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Under the Dome: vol.2


以前ご紹介した上巻に引き続き、スティーヴン・キングの超大作『アンダー・ザ・ドーム』下巻を、数日前に読了していました。
旅行前に読み終えて良かった (^^;
もし旅行に持って行ったら、かなりの荷物になっていたからです。
下巻のみでも700ページ。
あっという間に数日間で読んでしまいました。
上下2巻で2段組み、しかも1,400ページもの大著ですが、最後まで吸引力は衰えず。
最高の娯楽、最高の人間ドラマでした。
数多く登場する個性的な人物達をついつい応援してしまいます。
それがたとえ大悪党であっても。
善と悪、希望と絶望、生と死。
緊張が最高潮に盛り上がる中での大破壊とその余波。
キングは神も運命も信じていますが、キングの信じる神は常に無慈悲です。
善人であろうが悪人であろうが、運や必然によって無慈悲な運命を辿るのがキングらしい。


それにしても、このリーダビリティは凄い。
町を独裁政権の下で支配しようとして、勢力を拡大・集結、さらに裏で陰謀を進めていく巨悪。
それに対抗すべく密かに結集し、立ち上がろうとする市井の=善なる人々。
人数でも武力でも差は歴然。
どうなる?
そしてドーム発生原因の究明。
果たしてドームは破壊出来るのか?


主人公だけでも十数人。
脇役を含めると数十人もの大群像劇なのに、読んでいて混乱しない描き分けの巧みさ。
人間ドラマがこってりとせず、人物描写が物語に奉仕している簡潔さ。
それでいながら極悪非道な悪党までもが活き活きとして、自らの意思で物語を語っている素晴らしさ。
複数のプロットが同時進行して進む圧倒的迫力と緊張感。
全てのページの次が、どうなるのか気になって仕方がありません。
馬鹿力で加速する機関車に乗り遅れるな!と、読む方も必死にページをめくります。


その一方、馬鹿力だけではない、エモーショナルな一節がさらりと入るのが素晴らしい。
特に私にとって、感動的なフレーズがありました。

グローの意見では、エイダンはたいした兵士ではない。しかし、心根のやさしい立派な若者だ。

こんな文章をさらりと書けるのも凄い。
特にイラク戦争後のアメリカにおいて。


読書する喜びと充実感が味わえる傑作です。
読み逃し無きよう。

アンダー・ザ・ドーム 上

アンダー・ザ・ドーム 上

アンダー・ザ・ドーム 下

アンダー・ザ・ドーム 下