days of cinema, music and food

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報道災害【原発編】事実を伝えないメディアの大罪


上杉隆烏賀陽弘道の対談に、同じくフリージャーナリスト畠山理仁が前書きと構成を担当という、自由報道協会オールスター本(笑)です。
同時に、今、最も信頼出来るフリージャーナリストらによる力の入った本でもあります。


自由報道協会設立の意図の詳しくは、下記文章を読んでもらいましょう。


簡単に言うと、閉鎖的・独占的な大手メディアの記者クラブ・システムを崩すべく、大手メディアのみならずフリージャーナリストにも記者会見・取材の場を提供しようとの意図で設立された協会です。
メンバーには著名なジャーナリストたちも参加しています。


本書は対談本の常でもあり、また上杉と烏賀陽の軽妙さもあって、すらすらあっと言う間に読めました。
上杉隆衆議院議員鳩山邦夫の第1公設秘書を5年務めたので、政治の側から、烏賀陽弘道元朝日新聞記者なので記者クラブの側からも語れるのが、本書の強みとなっています。


しかし鋭い指摘箇所に改めて慄然とする事も多い。
原発事故直後、海外及びフリージャーナリストたちがメルトダウンの可能性を指摘したにも関わらず、東電、政府、及び記者クラブメディアが否定、しかし結果的にメルトダウンが事実だったのは記憶に新しいですが、こういった事例にに始まり、情報統制や閉鎖的なシステムに対して舌鋒鋭く切り込んでいきます。


本書が優れているのは、記者クラブ問題などジャーナリズムに対する問題の指摘だけでなく、現代日本社会の抱える問題に対する指摘ともなっている事。
読んでいて考えさせられる事も多い。
面白くてやがて恐ろしきかな。
日本の社会に対してもかなり絶望感も味わえ、いや実際、そこらのホラー映画より怖いです。
しかし一方で、情報操作が本書も含めた書籍やネットによって白日の元にさらされた現実に、希望も抱けます。
お勧めの本です。