days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Big Book of Zombie Films 2002-2010


ゾンビ映画大マガジン』をよう〜〜〜〜〜〜やっと読了しました。
いやぁ、長かったです。
何かの合間合間に暇つぶしとばかりに読み進めていましたが、これだけ読み進めるのが大変だった映画ムック本も珍しい (^^;


本書は2002年から2010年までの間に製作された、洋の東西を問わないあらゆるゾンビ映画300本の紹介、批評集です。
まずはそのデータの物量に圧倒されました。
普通の洋泉社の映画ムック本と同じ版サイズ、厚さなのに、フォントも小さくページも薄いのに、ページを開けるとギュギュギュと情報がぎっしり詰め込まれています。
これが『バイオハザード』等のメジャー作品からインディーズ、日本のOV、ハードコアポルノ、自主製作等々、よくもここまで調べて集めたものだと感心します。
日本でリリースされていないものが半分以上でしょう、輸入DVD等でせっせと視聴し、レヴューが書かれています。
中には鑑賞出来なかったものもあるらしく、ネットで関連するコメントだけ拾ったものもありますが、収録作品の殆どを評者達が手分けして実際に観ているのですから、偉いものです。


問題は、その殆どが、ゴミにもクズにもならなさそうな駄作ばかりな事。
たまに錫や銅、鉄はありますが、金銀プラチナは殆ど無いのです。
自分の人生の貴重な時間を割いて大量のガラクタ映画を観た執筆陣も、さぞかし苦行だった事でしょう。
お陰で読み手も大変難儀でした (^^;
例えばエド・ウッド作品のように、ゴミクズ映画でも愛嬌があれば良いものの、愛嬌すらない救い難い映画も多かったようで、評者の苦労が偲ばれます。


本書は執筆陣の1人でもあり、ゾンビ映画の第一人者でもある伊東美和の『ゾンビ映画大辞典』の続編的位置付けにもなっています。
しかし初心者にも親切に、巻頭では「おさらいゾンビ映画の歴史」があって間口も広く取ってあります。
要所ではゾンビ映画史(?)に残りそうな『28日後...』『ドーン・オブ・ザ・デッド』『ランド・オブ・ザ・デッド』『ショーン・オブ・ザ・デッド』などはキチンとページを割かれて紹介されていて、親切。
巻末には「ゾンビ映画と生きた屍の文化史」として、映画、文学、コミック、演劇、エレクトロニックとして各分野で繁殖しているゾンビを紹介しています。
面白いのはゾンビゲームが近年流行っており、スマートフォン・アプリにも増殖しているという事です。


惜しいのは、以前ご紹介した、大成功を収めたTVシリーズウォーキング・デッド』がその他大勢の映画と同じ扱いになっている事。
これは短評等ではなく、もっとページを割いて紹介して論ずべきシリーズでしょう。
それと索引が無い事。
索引が無いので、どこに何の映画があったのか、さっぱり分かりません。
伊東氏のインタヴューによると時間の問題で出来なかったそうですが。
事典としての役割もある本書において、全く惜しいです。


そんな瑕疵はあるものの、やっぱり時代はゾンビだね、と同意する方は必携本でしょう。
時間と心の余裕もお忘れなく。


下記、伊東美和インタヴューでも本書作成の苦労が偲ばれます。


別冊映画秘宝 ゾンビ映画大マガジン (洋泉社MOOK)

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ゾンビ映画大事典 (映画秘宝COLLECTION)

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