days of cinema, music and food

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Ghost World


ダニエル・クロウズのアメコミ『ゴーストワールド』を読みました。
これ、Twitterでお薦めされた本なのですよね。
以前出ていたものが再販されたのです。


2001年に映画化されて話題になった『ゴーストワールド』は未見です。
主役の内、片方のソーラ・バーチのファッションが話題になっていましたが、もう片方のスカーレット・ジョハンソン(スカーレット・ヨハンソン)は今やセックス・シンボルとなっているのですから、世の中分かりません。
というのは、この本(=映画)の主人公であるイーニドとレベッカは、かなりイケてない女の子達だからです。


本書は80ページと短い単行本で、全部で8つのエピソードから成っています。
内容は高校を卒業して何もしていないイーニドとレベッカの18歳の少女の、日常を描いたもの。
だらだらとした日常と、小さな悦び、倦怠、嫌悪、不安等を描いていて、やがて青春の終わりと2人の距離を描いていて、素晴らしい。
画はかなり個性的で、はっきり言って好き嫌いが分かれそうなヘタウマ系です。
しかしこの画が、段々とクセになってきます。
全編、イーニドとレベッカの台詞のやり取りで殆どが占められていて、その会話の内容が非常に活き活きとしています。
内容は全くしょーもないものばかり。
いえいえ、だから現実的で、だから青春コミックとして秀逸なのです。
台詞は物語の推進力とならずとも、ページターナーとしての推力は持ちえています。
2人の会話を読むだけで面白い。
全て愉快とは言い難いものであっても、綺麗事ではない、ここには等身大の青春が描かれています。
画と台詞のコントラストが非常に面白くて、あっという間に読んでしまいました。


しかしこれはあっという間に読んでしまって、それでおしまいの本ではありません。
大人の誰しもが体験した事のある、普遍的な青春との別れをも描いているのですから。
これは何度も再読したい。
お薦めです。


ゴーストワールド日本語版

ゴーストワールド日本語版