The Hobbit, or There and Back Again.
J・R・R・トールキンの名作『ホビットの冒険 オリジナル版』を読了しました。
古本で買ったまま数年以上ほったらかしていたので、ようやく、です。
今回読んだ動機は、無論、年末の映画公開に備えてというのもありますが、やはり幼少時に読んで楽しめた本をまた楽しめるのか、自分でも知りたかったのでした。
ホビット庄でのんびり暮らしていたビルボ・バギンズの家に、ある日どやどやと13人のドワーフ達が押しかけて来ます。
ドワーフのリーダー、トーリの父祖の地であるはなれ山にて、邪悪な竜スマウグが奪って守る財宝を奪還すべく遠征の旅に出ていたメンバーだったのです。
彼らは魔法使いガンダルフの薦めるビルボも「忍びの者」として引き入れよう、という算段だったのです。
いきなり快適な日常生活からの離脱を余儀なくされたビルボですが、自らの内なる冒険への渇望は抑えがたく、共に冒険の旅に出発するのですが…
という事で、これは『指輪物語』の前日談。
本書に気を良くしたトールキンが、『指輪』を執筆していくのです。
さて装丁や挿絵は違うけれども、文章自体は小学校の図書館で少なくとも3度は借りて読んでいた、瀬田貞二訳の愛読書だったものと同じです。
当時のは寺島龍一による挿絵が印象的でした。
読むのはそれ以来ですから、30年振り近くになります。
面白いもので、幹の記憶は薄れ枝葉を覚えていました。
例えば冒頭のドワーフ達のおしかけや、映画版『ロード・オブ・ザ・リング』第1部にちょっと登場した巨大なトロルの石像の由来とか、ですね。
まぁですがしかし、大人になると平仮名ばかりの文章がこんなに読みにくいとは。
序盤はリズムにも乗れず少々難儀しましたが、徐々に語りにも慣れて楽しく読めるようになりました。
当時はこれで調子に乗って『指輪物語』第1部ハードカバー上下巻を買ってもらい、果敢にも挑戦したものの、第1部上巻で挫折する事幾度か…となるのですが。
その『指輪』、下巻にも1度辿り着くものの、結局放り出したのでした。
ようやく読破したのは、『ロード・オブ・ザ・リング』公開前でしたね。
その時は大して難儀もせず、読み進められたのですから面白いものです。
トールキンはプロの作家でないからか、単純な『ホビット』の方が読みやすく感じました。
でも作り込まれた世界観という事で『指輪』は偉大、という事でしょう。
牧歌的でのどかな御伽噺の世界は、現代ファンタジーでは中々触れられないもの。
そういう意味でも楽しく、また貴重な読書体験でした。
トールキンによる素朴な挿絵も楽しい。
私が今回読んだのはこちら。
- 作者: J. R. R.トールキン,瀬田貞二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/12/07
- メディア: 単行本
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小学生のときに読んだ書の改版が出ています。
- 作者: J.R.R.トールキン,寺島竜一,瀬田貞二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1983/09/30
- メディア: 単行本
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その文庫本のようです。
- 作者: J.R.R.トールキン,J.R.R. Tolkien,瀬田貞二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/08/18
- メディア: ペーパーバック
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- 作者: J.R.R.トールキン,J.R.R. Tolkien,瀬田貞二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/08/18
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違う訳者のものも出ています。
- 作者: J.R.R.トールキン,J.R.R. Tolkien,山本史郎
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 1997/10
- メディア: 単行本
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年末に公開される予定の『ホビット 思いがけない冒険』と『ホビット ゆきて帰りし物語』がとても楽しみです。
映画版は2本なのですが、どうやら原作は本書だけではなく、追補版等からも素材を取る模様。
フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ギレルモ・デル・トロ、ピーター・ジャクソンらの脚本家チームですから、きっと練りに練ったものになるでしょう。
どんな内容になるのかまだまだ分かりませんが、これは期待してしまいますね。
それとジャクソン初の3D映画となるのも注目です。