days of cinema, music and food

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別冊映画秘宝アメコミ映画完全ガイド ダークヒーロー編


先日読んでご紹介した『別冊映画秘宝 アメコミ映画完全ガイド スーパーヒーロー編』の姉妹本と言って良いでしょう。
あちらが『アメイジング・スパイダーマン』『アベンジャーズ』公開に合わせたなら、こちらは『ダークナイト ライジング』に合わせたものとなっています。


ダークヒーロー。
魅力的な響きですね。
現実には快活陽気で屈託のないヒーローなど居ないさ、という現実主義的な考えが根底にあるヒーロー像な訳ですが、だからこそ人は彼らに魅力的に感じるのでしょう。
ブルース・ウェインバットマン、スポーン、ヘルボーイゴーストライダースワンプシング等等…。
本書ではさらにダークヒーローもしくは屈折したコミックを世に送り出して来たアーティスト達にもスポットライトを当てています。
それが『フロム・ヘル』や『ウォッチメン』等のアラン・ムーアや、『シン・シティ』『300 <スリーハンドレッド>』等のフランク・ミラーであり、作品ごとに紹介されている『ウォンテッド』『キック・アス』等のマーク・ミラーであるのです。


『スーパーヒーロー編』もアメコミ初心者向けで良かったのですが、内容の面白さではこちらに軍配が上がります。
屈折したヒーローの方が読む方も書く方も楽しいのでしょう。
締切の都合上『ライジング』関連は少ないけれども、ジョエル・シュマッカーバットマン映画にもきちんと触れていますし、ちゃんと拾うところは拾っています。
ここはどうせなら、バットマン作者のボブ・ケインにまで踏み込んでもらいたかったのですが、原初過ぎるとの判断だったのでしょうか。
コミック版バットマンへの踏込みがもう少しあっても良かったのでは、と思いました。


ともあれ、本書は映画とコミックにおけるダークヒーロー、あるいはダークなジャンル・コミックへの最適な入門書と言えます。
ヒーローではないけれども、『ウォーキング・デッド』にも触れられています。
また、巻末にはアメコミと言えばかつてはこの人だった小野耕世も寄稿しています。
お勧めムック本です。


別冊映画秘宝アメコミ映画完全ガイド ダークヒーロー編 (洋泉社MOOK)

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