days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

A Storm of Swords (Vol. 2)


昨年末に上巻をご紹介したジョージ・R・R・マーティンによる全7部予定の超大作大河戦記ファンタジー、『氷と炎の歌』第3部、『剣嵐の大地』の上中下の内、中巻を読了しました。
しかし「けんらんのだいち」って未だに素直に読めないですヨ。


相変わらずの冷酷非情な陰謀策謀てんこ盛り、血で血を洗う怒涛の展開に加え、徐々に人知のものではない闇の勢力を増しつつあり、ファンタジー色が濃くなって来ました。
ファンタジー好きな方からすると、長大な第3部(この中巻だけで文庫本700ページ弱)に来てやっとか、という人もあろうかもですが(^^;
でもこのシリーズ本当の主役は人間達ですからね。
まだまだファンタジーというよりも、幾つもの王家・諸家が織りなす玉座奪い合いドロドロドラマの印象が強いです。


で、です。
後半にあるとある場面が猛烈強烈ショッキングでした。
この衝撃は、10年以上前に読んだジェイムズ・エルロイの大傑作ハードボイルド『ビッグ・ノーウェア』のとある場面以来ですよ。
いやはや…。
こりゃ下巻がある意味怖いですね。
文字通り女子供老人関係無し、善人悪人関係無し、視点人物であろうがなかろうが関係無し、読者が感情移入しようがしまいがも関係無し。
次々と大勢が血潮の海に沈んでいくのですから。
読んでいて心臓に悪い本でもあるのデス (^^;


マーティンの筆致は絶好調で、10人にも及ぶ視点人物達を激動の波に飲み込ませつつ、それぞれが微妙に重なり合い、ニアミスを起こし、離れ離れになっていく様を、堅実着実じっくり描いて行きます。
これだけ長い本なのに、これだけ複雑な内容なのに、これだけ絶望にまみれている本なのに、次がどうなるのか気になって仕方ありません。
本書は諸般の事情により読み終えるのに3か月も掛りましたが、心離れる時がありませんでした。
この求心力は凄いですよ。
力強く、かつ繊細に描かれた登場人物達のドラマと、複雑に絡み合った物語の展開、ところどことに仕掛けられるどんでん返しと、リーダビリティ満点です。


今月下旬から北米で始まるTVドラマ版『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン3は、この第3部が長いので真ん中まで映像化するとの事。
という事は来年のシーズン4が後半になるのでしょうか。
シーズン3が本書のどこら辺までドラマ化するのか分かりませんが、前述の場面は原作を知らないと、多くの視聴者にとって相当に衝撃的でしょうね…。


すっかり人間でなくなったティリオン・ラニスター。

剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)

剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)

何だか凄いご面相になっています (^^;


剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)

剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)


七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)

七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)

七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)

七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)


TV版に関しては嬉しいニュースが。
7月にワーナーからシリーズのBlu-ray Disc及びDVD-VIDEOが発売されるというのです。
これは楽しみです。
聞けばスターチャンネル放映版は残酷描写にモザイクが掛かっているとの事。
ちゃんとオリジナル版通りに出してもらいたいものです。
ジャケットは余り期待できないような気もしますが… f^_^;
仕様や価格は未発表ですが、こちらも要チェックですね。