days of cinema, music and food

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Les Cités Obscures II


先日第1巻をご紹介した、ブノワ・ペータース作、フランソワ・スクイテン画のフランス語圏コミック、バンド・デシネ(BD)の『闇の国々』。
その第2巻を読了しました。
昼休み中に会社のあるビル内の大型書店で、何と著者2人のサイン本として売っていたので、迷わず購入したのがこれです。
1冊4千円もするの高額本ですが、大判のA4サイズで300ページあるのだから、致し方ありません。
フランス語圏のコミック、バンド・デシネで、これはベルギーの幼馴染2人の作品。
あちらでは有名なシリーズらしく、1983年から断続的に続いているSF連作中編集です。


日本では売れるかどうか分からない状況で出版された第1巻は傑作集とあっただけあって、この第2巻収録のエピソードはあちらに比べるとやや影が薄いでしょうか。
でも想像力に溢れたブノワ・ペータース作のシュールな展開と、フランソワ・スクイテンの緻密な画には心奪われてしまいます。
登場人物が皆、貧相な(失礼!)男女ばかりというのも、日本のマンガともアメコミとも全く違って面白い。
主人公らは架空の世界「闇の国々(原題は「都市」の複数形)」で、訳も分からず苦境に陥りながらも、何とか脱出しようともがきます。
第1巻で顕著だった建造物へのこだわりはこの第2巻でも顕著ですが、同時に彼らの葛藤にも目が行きました。
結果的に、蟻地獄のような世界に囚われてしまう者もあれば、明るい陽射しを浴びられる者もあり、先の読めない展開と共に、文字通り「世界」に引き込まれてしまいます。


それにしても、です。
スクリーントーンも使わず、何から何まで全部1人で作業しているので、1ページを描くのに1週間掛かるというスクイテンの画の圧倒的魅力は、全く素晴らしい。
エッチングを想起させる描き込みが半端ないペン画の持つ絵力が、このシリーズ最大の魅力なのは言うまでもないでしょう。
この世界に浸れるだけでも幸せです。
だからページを軽快にめくるのではなく、じっくり1コマ1コマを味わいながら、毎日少しずつ読み進めるのが理想的ですね。

本作はカラーページも増えているので、そちらの画も楽しめます。


先日は邦訳第3巻も出版され、第4巻も出版が決定したそうです。
これで番外編以外の主な作品の殆どは日本語で読めそう。
少々高価だし場所も取るけれども、たまに引っ張り出して闇の国々に行ってみたくなる、でもヘヴィな作品。
機会があったら是非どうぞ。


闇の国々II (ShoPro Books)

闇の国々II (ShoPro Books)


もちろん、傑作揃いの第1もどうぞ。

闇の国々 (ShoPro Books)

闇の国々 (ShoPro Books)


第3巻も読まねば…

闇の国々III

闇の国々III