days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

The Last Stand


昼はBBQ、夜は深夜興業に貢献すべく、近所のM田さんと映画鑑賞です。
ラストスタンド』ミッドナイトショウ鑑賞は、公開初日の土曜23時50分からの回は我々含めて9人のみという寂しい入りでした。
シュワちゃん10年振りの主演作であるアクション映画なのに…。
栄枯盛衰とはこの事ですか。


メキシコの麻薬王コルテス(エドゥアルド・ノリエガ)が、FBIの厳重な警備での護送中に、部下達の手引きによって脱走しました。
コルテスは元天才的ドライバーで、コルベットを操って時速300km以上の猛スピードで疾走、パトカーやヘリの追撃をかわして行きます。
必死になって捜索するバニスター(フォレスト・ウィテカー)らでしたが、中々見つかりません。
一方、国境近いニューメキシコの田舎町ソマートンの保安官レイ(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、街の怪しい動きを察しました。
見知らぬ男達の姿を見掛けたのです。
コルテスはこの町を通過するのではないか。
応援の無い中、武器弾薬にも乏しい中でレイら保安官事務所の面々は、コルテス阻止の為に立ち上がります。


批評家達からは好評だったものの、北米でも興業的には惨敗した作品です。
シュワの時代はもう終わったのでしょうか。
韓国で『悪魔を見た』などを発表してきたキム・ジウン渡米後初作品…といっても、私はこの監督作品はことごとく見逃しているので初めてです。
結果的にはかなり満足度の高い映画でした。


大規模な映画ではなく、むしろ昨今のハリウッド映画の中では小ぶりな方に入る方でしょう。
しかし正統派西部劇調に沿った内容に、血の気の多いアクションをふんだんに盛り込んだ映画となっていて、とても楽しめました。
全体の印象は大味ですが、ちゃんと1場面1場面含めて丁寧に作られていたのに感心します。
特に後半のアクション連打などでは、シュワ事務所の面々が次々危機に陥るようになっていて、いちいち緊張感がありました。
脇役まで個性を与えて描いているし、街の住民たちの描写も笑えます。
特にガンマニア役のジョニー・ノックスヴィルには笑わせてもらいました。
ロドリゴ・サントロルイス・ガスマンらにもきっちりと描き分けがされていましたし、悪役ナンバー2役のピーター・ストーメアも憎々しい。
しかもちょい役にハリー・ディーン・スタントンですか。
こういう配役は嬉しいですね。
全体に血しぶき脳漿飛び散るグロい描写が多いものの、映画全体は湿っぽくなく、単純明快な娯楽アクション映画に仕上がっていて、カラッとスカッとして痛快でした。
緊張と笑いとカタルシスの塩梅も良く、こういう気軽に楽しめる上出来の娯楽映画は断然支持したくなります。
シュワの映画の中でも上位に来る出来ですよ、これは。
それが不入りとは残念至極。
実際に観れば面白いし、お勧めなのですけれどもねぇ。
もっと客が入って良い映画です。


シュワも皺が増えたし、老眼鏡をかける描写がありますが、どしっとしたスター振りと、腕力と銃器ぶっ放す安心のアクションは変わらず。
この変わらなさが古いという扱いなのかも知れません。
昨今のアクション映画はジェイソン・ボーンや007に代表されるようにスピード感が重視ですから。
矢継ぎ早の展開ではなく、めまぐるしいアクションではない娯楽アクション映画の体裁は、1980年代調なのは確かです。
しかし単純に娯楽アクション映画として楽しめる要素ばかりが入っているので、実際には劇場で観てもらいたいも。
今の20代の感想も聞いてみたいとも思いました。


殆ど文句のない映画なのですが、唯一の不満点はジェネシス・ロドリゲスの扱いです。
コルテスに人質に取られるFBI捜査官の役で、全く見せ場無しの単なるエスニック美人というだけ。
なんと勿体無い!