days of cinema, music and food

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暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌


デザイナーにして雑誌『映画秘宝』アートディレクター、近年は映画批評や映画『冷たい熱帯魚』共同脚本家としても活躍中のサタニスト、高橋ヨシキ初の映画評論集を読了しました。
暴力や残酷、恐怖といった題材を扱った映画を主に取り上げていた、非常にマニアックでありながら、非常に面白い本でした。
先日の旅行中は時間を見つけては読みふけってしまいましたよ。


表現とは先の『はだしのゲン』騒動にもあるように、時には受け手に嫌悪を抱かせ、心かき乱す場合もあります。
漂白され、スポイルされたものを忌み嫌う本書著者の主張は首尾一貫しており、読んでいて非常に説得力がありました。
綺麗ごとを唾棄し、世間では避けられているような題材や表現に独自の美や存在価値を認め、批評する著者の姿勢は痛快です。
社会通念に縛られない著者の自由な物の見方を通して、カタルシスさえ得られました。
私も未見の映画が多かったし、必ずしも趣味ではないものもありましたが、それでも納得させるだけの説得力が本書にはありました。
批評として見事に成立している証しでもあります。


表紙はティム・バートンの代表作の1本ともされる『バットマン リターンズ』から、ミシェル・ファイファー演ずるキャットウーマン
著者が偏愛する映画であり、本書でも詳細に取り上げられていて、そこの部分も読み応えがありました。
新たな視野を得られるという点で、好事家のみならずお勧めの映画批評集です。


尚、高橋ヨシキは、『スター・ウォーズ/エピソード6 ジェダイの帰還(ジェダイの復讐)』に登場するイォーク族の積極的な擁護者としても知られています (^^;


暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌

暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌