音の塔
今日も『ロード・オブ・ザ・リング』サントラCDのご紹介。
第2部『二つの塔』です。
作曲・指揮はハワード・ショア、演奏はロンドン・フィルハーモニック管弦楽団は、3部作全て共通。
中つ国が戦乱に突入していく様と、フロドの受難を描いた作品らしく、荘厳に聳え立つような迫力に満ちています。
陰鬱なゴラム、不気味なエント、次々襲い掛かるウルク=ハイとの戦い。
そこに文字通り風のように入り込むのが、馬と農耕の国ローハンのテーマです。
広がる大地の上を風が吹く様が思い浮かべられるような、フィドルを生かした素朴なメロディが耳の残ります。
このテーマは続く第3部でも生かされます。
最後を締めるのは『ゴラムの歌』。
孤独で陰鬱、悲しみを帯びたメロディと歌詞が、次回作で予想される不吉な展開(裏返せば期待でもあります)を予感させます。
第1部で印象に残ったメロディ、例えばキャッチーな旅の仲間のテーマなどの再利用に余り頼らない作りに、ショアの意気込みを意地を感じます。
新たなテーマの数々に、作品世界が拡散する危険もありますが、世界の統一感が取られているのはさすが。
これはこれで素晴らしい、傑作映画音楽です。
好みで言えばのんびりした曲調も多い『旅の仲間』の方ですが、まだ寝ぼけている朝の通勤時よりも、帰宅時に聴くことが多いです。