days of cinema, music and food

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赤い靴下関連本2冊


今年の松坂大輔フィーバーによって、我がボストン・レッドソックス関連本が相次いで出版されました。
その中から、雑誌やムック本ではなく、単行本を2冊を紹介します。


1冊目は、李啓充著『怪物と赤い靴下』。

怪物と赤い靴下

怪物と赤い靴下

スポーツ専門誌『Number』のWeb版連載の『Column from East』や、『週刊文春』の連載『大リーグファン養成講座』での軽妙な文章で御馴染みの著者による、書き下ろしです。
ボストン在住の医学博士である著者は、肩書きがいつのまにか大リーグコラムニストになっていました(笑)。


本書は、いちレッドソックス・ファンからの野球愛溢れる好著。
プレイだけではなく、歴史、選手個人のエピソードなど、野球というスポーツそのものと戯れています。
それらが素直に文章に出ていて、読んでいて非常に楽しい。
読み易く、分かり易く、ユーモア満点で、読んでいてクスクスと笑ってしまう箇所も少なくありません。
レッドソックス・ファンならではのマゾヒスティックで縁起担ぎな様子に笑い、ありとあらゆる不運で勝利の女神に見放され続けるチームを嘆き、念願叶ったワールドシリーズ制覇に喜ぶ。
読書中の数時間、浮世を忘れてスポーツと戯れる文章に戯れる幸福を得られます。
その分、読後に何も残らないのも楽しい。
いや、これは褒め言葉のつもりです。
また読み返したくなるのですから。


もう1冊はTBSラジオストリーム』出演でも同じみのスポーツ・ジャーナリスト古内義明著『松坂大輔に120億円の価値はあったのか』。

松坂大輔に120億円の価値はあったのか (成美文庫)

松坂大輔に120億円の価値はあったのか (成美文庫)

中々刺激的なタイトルです。
著者がどう結論付けているのかは実際に読んで頂くとして、この本で一番面白いのはレッドソックスという球団が、現在どのように運営されているのかが分かる点にあります。
オーナーであるジョン・ヘンリー率いる経営陣の理念が、周到なマーケティングによって実現されているのが分かるのは、読んでいてスリリングでさえありました。
レッドソックス・ファンであっても、ここまで突っ込んだ文章で読んだことは無かったですからね。
スポーツという娯楽を産業にまでしているものの、その根底にあるファン重視の姿勢にほっと胸を撫で下ろすのです。
こういったオーナーがいたら、日本のプロ野球もずっと良くなるだろうに・・・などと死んだ子の歳を数えるような思いにも囚われるのでした。


ファン視点とジャーナリスト視点の2冊は、野球ファンならばお奨めの本となっています。


となると、何度も言って来たことですが、ファン視点で書かれたレッドソックス本決定版なのではないか、と想像されるスティーブン・キングとスチュワート・オナンの共著『Faithful: Two Diehard Boston Red Sox Fans Chronicle The Historic 2004 Season』も、どこぞで邦訳出版してもらいたいのですよねぇ・・・。

Faithful

Faithful