days of cinema, music and food

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"Lust, Caution" on Blu-ray Disc


AV機器周りの設置を変更して気を良くして、休みの間の目標の1つである「積みBlu-ray Discを少しでも観る」に移りました。
作品はアン・リーの傑作『ラスト、コーション』です。

偶然ではありますが、先日観た『レッド・クリフ Part II』に続けて、トニー・レオン連発鑑賞となりました。


この映画、昨年観た中でも最も印象に残っている映画なのです。
理由は、衝撃的なクライマクスの展開とラストもさることながら、観終えた直後と時間が経ってからの感想が変わってきたからです(劇場での鑑賞直後の感想はこちら、8ヵ月後のレヴューはこちら)。


再見すると終盤の展開を知っているだけに、序盤の現在の時制からいきなり緊張感があります。
全体に淡々と進みながらも、後半の緊張感と切迫感はスリラーに相応しいもの。
タン・ウェイは大女優になりそうなのに、中国政府の締め付けでこれ以降の作品がまだ無いのが本当に残念です。


恋愛映画を想像あるいは期待しても、それなりの満足感を得られるかも知れません。
しかしそれでは、この映画の表層を観ただけにしかならないのではないでしょうか。
基本的には過酷な運命に翻弄される主人公を描きつつ、男女の戦いを日中の代理戦争の如く描いた作品になっています。
そう考えると、日本の手先役にハンサムなトニー・レオンを起用したのですから、昨年中国政府がヒロイン役タン・ウェイに対して弾圧(と言って良いと思います)したのも、そもそも見当違いとは言え、あの国の体制を考えると頷けないこともありません。


さてBDとしての品質ですが、画質は結構良い方ですね。
タン・ウェイのメイクが、垢抜けない時代と洗練されて商人夫人になりきっている時代と、まるっきり違うのも分かりますし。
肌も綺麗に見えます。
音は中国語リニアPCMで視聴。
格別高音質でも無かったですが、これも良い方でしょう。
サラウンドは音楽か環境音程度で、サウンドデザインも凝りまくったものではありませんが、画面への求心力を高める計算でフロント中心なのならば、これは成功しています。
アレクサンドル・デプラの音楽も良い。
1箇所、ウーファーがバタつくくらいに重低音たっぷりのところもありましたが、それ以外は良好に再生してくれました。


でも『HiVi』で吉田伊織が言っていたように、日本語までリニアPCM収録しなくても良かったのでは。
このディスク、中国語と日本語で、それぞれリニアPCMとドルデジの2本ずつ収録しているのです。
2層ディスクとはいえ、160分近い映画なのですから、結構音声がディスク容量を圧迫していそう。
これだけでも十分高画質ですが、日本語リニアPCMは削除して画室アップに繋げてもらいたかったです。


特典の類いは一切無し。
予告編すらありません。
DVD-VIDEOのボックス版は特典ディスク収録ですから、このBDも特典ディスクを付けてもらいたかったところです。


そうそう、劇場公開時と違ってボカシが一切無かったのは良かった。
修正された映画を観ると嫌な気分になりますからね。


ラスト、コーション [Blu-ray]

ラスト、コーション [Blu-ray]