days of cinema, music and food

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"The Last of Mohicans: Director's Cut" on Blu-ray Disc


ラスト・オブ・モヒカン』をBlu-ray Discにて鑑賞しました。
恐らく十数年振りの鑑賞です。
劇場ではもちろん観ていたし、国内盤LD、その画質音質に不満足で海外LDを買い直して観たくらい好きな映画ですが、DVDは悪名高いポニーキャニオン製で、やはり悪評だったので未購入でした。
私はこのパターンが幾つかあるのですが、メディア1世代おきくらいに観ると凄く新鮮に感じられて、とても楽しい思いをする事がありますね。
今回BDで出たのは、マイケル・マンによる「ディレクターズ・カット」。
劇場での上映時間は112分、本ディスクは114分とあるので、どこかは増えているのでしょう。
しかし私には全く分かりませんでした f^-^;
IMDbには記載があるので、今度読んでみましょうか。


メニュー画面は静止画でそっけなく、しかも本編と無関係な音楽で興醒め…。

う〜ん、大丈夫か?と、製品の質を疑うのでありましたが…。

























映画はアメリカ建国前の1757年。
舞台は英仏戦争真っ只中のニューヨーク付近。
英仏戦争に巻き込まれた男女の物語で、白人ですがモヒカン族族長チンガチュク(ラッセル・ミーンズ)に育てられたホークアイダニエル・デイ=ルイス)を主人公としています。
ホークアイと英軍将校の長女コーラ(マデリーン・ストウ)との恋愛を軸に、波乱万丈の冒険活劇が繰り広げられる…というのが世間の認識だと思います。
しかし監督が俺様コダワリ様のマイケル・マン先生です。
当時の丸太小屋はもちろん、実物大の要塞を実際に木造で作ったり、先込め銃や刃物を使った戦闘もリアルに再現と、大自然を背景に自分の世界を作っていてさすが。
緊張で盛り上げて生々しいアクションを爆発させる演出も素晴らしい。
撮影もアイディア豊富で、編集にもドキリとさせられます。
それとダンテ・スピノッティの撮影、ですよ。
アメリカにも中国の水墨画みたいな景色があるんだ、と知ったのはこの映画でした。
撮影はフルフレームで行っているみたいですが、2.35:1のワイドスクリーンを使い切った構図がいちいち美しい。
超ロングショットにケシ粒大の人間という、大画面特化映像も続出。
ホームシアターで観なけりゃならない映画の1本です。
終盤の「谷底に死体」ショット、2体並んでいると今回初めて知りましたよ(劇場では分かったかもですが)。
低解像度かつTV画面だと分からない画ですね。


ダニエル・デイ=ルイスの走るヒーローは、今観てもやはり恰好良かったです。
森の中を走り続けるヒーローで、メル・ギブソンの佳作古代マヤ文明アクション『アポカリプト』思い出しました。
もっとも、あちらは追われる側、こちらは追う側と、真逆ですけれどもね。
ホークアイの内面は描かれず、一見するとフラットに見えますが、行動で感情をちゃんと描いています。
彼は自分の立ち位置を知っている男。
白人なのにアメリカ先住民という、どちらにも属さない感覚の持ち主なので、客観的な人物なのです。
最後の仇討場面もでしゃばらないで、控えています。
自分の出番でないからです。
主人公の設定は裏『ダンス・ウィズ・ウルブス』とも言えますね。


正直に言って恋愛ものとしては余りうまくいっていません。
むしろ、生と死、最期を前にしての各人物の行動等が強烈に印象に残ります。
それらに比べると恋愛ものとしてはかなり弱い。
いや、生や死の前では、恋愛など取るに足らないものになるのでしょう。
特に終盤のヒューロン族の村からの一連の流れは、緊張で胸が悪くなるかのよう。
フィドルの音色とリズム、映像と展開が混然一体となって突き進む様は、圧倒的迫力を伴っています。


敵軍フランス軍指揮官に、フランス人映画監督のパトリス・シェローが扮していたり、台詞は少ないものの、イギリス軍将校役にピート・ポスルスウェイトが扮していたりで、今観ると面白い箇所もありました。


BDとしての画質はややばら付きがあるものの、アップは高解像度。
屋外ショットはやや甘いものも散見されたけど、新作でもそんなのはよくある事です。
総じて綺麗で満足のいくものでした。
音はやや腰高で、これは1995年という製作年度を考えると仕方ありません。
サラウンド感はかなりあり、期待以上の品質でした。


特典は旧作なのにHD収録で、当時の映像と現在のインタヴュー、しかもデイ=ルイス登場だしで、かなり満足度は高いものです。
笑ったのは、デイ=ルイスも実弾特訓受けていた事。
コルト・ガバメントやらM16やら撃っていました。
さすがマン、桂冠詩人の息子でも容赦しません (^^;
マン映画に出ると実弾演習から逃れられないんですネ。
最初は最新の銃器を使い、徐々に昔の銃に遡ってデイ=ルイスに慣らさせたとか。
さらに笑ったのは、退役軍人デイル・ダイが軍隊作成係だった事。
そう、『プラトーン』、『プライベート・ライアン』等で役者達を鍛え上げたダイさんですよ。
18世紀が舞台の映画でもダイさん担当とは!
仕事はどこにあるもか分かったものではありません。







未だお美しいマデリーン・ストウウェス・ステューディらもインタヴューに答えています。
そしてこの映画はテーマ曲も有名ですが、作曲家トレヴァー・ジョーンズもインタヴューに登場します。
おぉ。
しかしもう1人の作曲家ランディ・エデルマンは無視…。
やはりジョーンズのスコアが明らかに目立っていますしね。
でも明るめのエデルマンの曲も、今となってはあって良かったと思います。


特典もHD収録だし、マン先生の音声解説も字幕付きで収録されているしで、ワーナー、廉価版でよくやった!
これは「買い」のBDです。


しかしマデリーン・ストウ、好きでしたねぇ。
デートで観に行った『瞳が忘れない/ブリンク』はストウさん目当て…って、今考えると相手に失礼だったのかしらん (^^;
そう言えばあちらも撮影監督はダンテ・スピノッティでした。


ラスト・オブ・モヒカン ディレクターズカット [Blu-ray]

ラスト・オブ・モヒカン ディレクターズカット [Blu-ray]