days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

Aus dem Nichts (aka: Into the Fade)

Aus dem Nichts (aka: Into the Fade)
カンヌ映画祭で女優賞を受賞した『女は二度決断する』を観て来ました。
ハンブルグでトルコ系移民の夫とその間に出来た幼い息子を、爆発で失った妻の物語です。
捜査が進むにつれて、事件は極右ネオナチによるテロでないかとの疑惑が深まるのですが。

ドイツの俊英ファティ・アキン監督は、ダイアン・クルーガー演ずるヒロインを徹底的に痛め付けます。
家族を失い、捜査の過程で夫を貶められ、裁判でボロボロになります。
観ていて痛々しいとはこのこと。
だから彼女が下した決断は唐突でなかったように思いました。


クルーガーは彼女のベスト演技でしょう。
「美人女優」のレッテルを自ら剥がせることを証明しました。
テロへの憎しみと平和への願い、そして物事は単純化されるものではないという意思がこもった誠実な映画だと思います。