A Storm of Swords (Vol. 1)
先日は第2部をご紹介したジョージ・R・R・マーティンによる全7部予定の超大作大河戦記ファンタジー、『氷と炎の歌』第3部、『剣嵐の大地』の上中下の内、上巻を読了しました。
この邦題、当て字だからか読めないですね。
「けんらんのだいち」と読むそうです。
戦乱の只中にある七王国では、鉄の玉座を巡る諸侯達による戦いが繰り広げられていました。
スターク家、バラシオン家、グレイジョイ家、ラニスター家らによる戦、同盟、裏切りが渦を巻いています。
ですがその北方、北の壁の向こうでは、野人の大軍が南下しつつあります。
一方、遥か東方の海の向こうでは、かつて鉄の玉座を守っていたターガリエン家の末裔、デナーリスがドラゴンをも従えた女王として軍勢を集結させつつあったのでした。
第2部にて、波乱万丈そのものの境遇にすっかり放り込まれてしまった各搭乗人物達。
本書ではその後の彼らの動きを追います。
ドツボにはまりそうな者もいれば、五里霧中のまま手探り状態で進む者もいるし、全く先が読めません。
主人公はこの第3部でも10人いるので、目が離せません。
第1部、第2部共に無慈悲な展開が多いので、気を抜けないのですよ (^^;
まぁしかし、何て境遇の起伏の激しい彼らなのでしょうか。
現代人からすると、生き急いでいるのではないかと思えます。
特に第1部序盤ではいたいけな、そして強制的に結婚させられた蛮族の族長である夫に、夜な夜な一方的に犯されていたデナーリスが、今や強靭な精神力と奸智にもたけつつある女王となりつつあり、頼もしい。
まだ十代半ばだと思いますが…
そしてみんな大好きな「小鬼(インプ)」こと、小人で醜いティリオン・ラニスター。
高貴な生まれでありながら奇形ゆえ、父や姉兄らから蔑まれている彼が、機知と度胸でもって障害を切り開いていく様は痛快ですらあります。
しかも冷酷な人物が多いこの世界において、彼は男の人物には珍しく温かみがあるのですよね。
人間味が1番あるからか、人気なのも頷けます。
面白さは保証出来る本書ですが、上巻とあってまだまだ助走の感があります。
いえ、物語は進んでいますが、第1部第2部共に、それぞれ終盤に山場を描いていたこのシリーズですから、きっと第3部でも壮大な見せ場がある事でしょう。
機会がありましたら、ダマされたと思って第1部から読んでみて下さいな。
私の妻も騙されてるんじゃないかと疑いながら読み始めたら、私を追い抜いてこの第3部を先に読み終えてしまったくらいですし (T-T)ノ
剣嵐の大地 (上) 〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1876)
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剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)
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剣嵐の大地 (下)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1878)
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ところで第2部までは訳語を一気に統一した為に「改訂新版」と銘打っていましたが、今回の第3部からは何も銘打たなくなりましたね。
訳語の統一という意味では同じ筈なのですが…
何故でしょうか。
未読の方は、第1部からも是非!
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既報の通り、来年早々に放送予定のTVドラマ版『ゲーム・オブ・スローンズ』も楽しみですねぇ。