days of cinema, music and food

徒然なるままに、食い・映画などの情報を書いていきます。分館の映画レビュー専門ブログhttp://d.hatena.ne.jp/horkals/もあります。

"The Dark Crystal" on Blu-ray Disc


先日観た『バロン』と同時に熱帯雨林さんで購入した『ダーククリスタル』を観ました。
何故同時購入か。
それは値引きされていたのと、「このソフトを買った人は…」に表示されていたからです(^^;
珍しく引っかかってしまいました。
そして鑑賞時のホームシアターの湿度は60%。
面倒臭がりで元々は気楽に映画を観たいだけの私にとって、加湿器で余り厳密に管理しなくても大概は50%-60%の範疇に収まってくれるので、楽させてもらっています。


この映画を知ったのは公開当時の1983年2月末の新聞広告です。

「不思議な映像へようこそ!」「世界初の映像革命 ROBOTRONICS(ロボットロニクス)」などと書かれており、小学5年にして既に海外特撮マニアの端くれだった私の心を惹き付けるには、それはもう十分なコピーでした(実際にはロボットロニクスなどという技術は使われておらず、当時よくあった映画の誇大広告の1つと思えば苦笑できるものです)。
また、当時は映画は渋谷で観ていたのですが、これは渋谷では上映されていませんでした。
そこで生まれて初めて新宿で観た映画でもあります。
歌舞伎町の新宿アカデミーか、伊勢丹近くの新宿スカラ座で上映されていたのですが、スカラ座にて鑑賞決定。
理由は、父の「歌舞伎町などとんでもない」(当時は意味が分かりませんでした)という一言で、渋谷から何本も乗り換えて、四谷などという聞いた事も無かった駅を通ったりして、何だか物凄く遠回りして行った事を覚えています。
後に知ったのですが、新宿駅からスカラ座まで直行する分には歌舞伎町を通らなくても済んだのですが、まだまだガラの悪い街だったからでしょうね。
妙に用心深いときがある父らしいエピソードです。


また、ジム・ヘンソンの名前を知ったのも本作でした。
実は『マペット・ショー』と『セサミ・ストリート』のクリエイターだと知り、ぬいぐるみ丸出しのあちらと、リアリズム路線のこちらとの落差に驚いたものです。


さて映画の内容はと言うと、こういったものです。

ハゲワシのようなスケクシス族が覇権を握る惑星トラ。皇帝の死により、生き残ったスケクシスは9人となった。彼らの住まう城の中心にはスケクシスの力の源である巨大な黒水晶があったが、3つの太陽が重なる大合致によって黒水晶は往時の輝きを取り戻し、同時にスケクシスはかつての勢いを取り戻すであろう。だがそれは世界に暗黒をもたらすことにもなる。ゲルフリン族の若者ジェンは、育ての親である賢者ミスティック族の長老から、世界を救う水晶の欠片の存在を知らされる。大合致までにそれを見つけなくてはならない。こうしてジェンの欠片探しの旅が始まる。


実際に観た映画には感動しました。
観た事も無い映像とはこのこと。
人間は1人も登場しない、リアルなクリーチャーばかりの世界で冒険が繰り広げられるのですから、小学生が夢中になるのも当然でしょう。
帰宅後は弟と共に、映画に登場する邪悪なスケクシス族に似たあやつり人形を作ったりして、暫くはこの映画に夢中になっていたのです。


映画に再会したのは中学生のとき。
この映画が大好きという同級生と一緒にVHSのレンタルで観たのですが、映像は素晴らしいと思ったものの、残念ながら映画の内容は余り面白くないと思いました。
もしかすると、「初見では興奮するも、再見するとがっかり」パターンの、これが初めての体験かも知れません。
まぁしかし、その同級生は映画のデザインを担当した画家ブライアン・フラウドの作品集を入手したり、輸入サントラLPを買ったりしていたので、私も彼から画集を借りたりLPをカセットテープにコピーしたりで、恩恵に授かったものです。


こうした思い出の映画を自宅スクリーンで改めて観られるというのも、ホームシアターの楽しみの1つです。
20数年振りに再会した映画は、内容の点では物足りなかったのも中学生のときと同様の感想でした。
主人公ジェンが余りに主体的で無さ過ぎるのも原因でしょう。
もっと物語を引っ張る性格だったら、映画の印象も大きく変わっていたでしょう。
また、本来ならば描くべき要素を、ナレーションや呆気ない展開で省略しているのもマイナス。
冒頭から世界設定の説明ナレーションが入りますが、これは『ロード・オブ・ザ・リング』第1部冒頭のように、せめて映像付きで見せてもらいたかった。
また、クリスタルの欠片探しが冒険の眼目の筈なのに、天文学者預言者でもある老婆オーグラが「はいよっ」とばかりに持っていて、笑ってしまいます。
こういった冒険活劇の要素も、まともに映画化するとタダでさえ高い製作費をさらに高くしてしまうからと、上映時間が長くなってしまうからなのでしょうが、それにしても何とかもう一工夫してもらいたかったところです。
ジム・ヘンソンフランク・オズの演出がやや平板なのも、冒険譚として弾まない原因でしょう。


それでもやはり、再会した映像は素晴らしかった。
特に邪悪でありながらユーモラスでもあり、絢爛豪華な衣装や装身具を付けながら、同時に汚らしいボロの重ね着をしているスケクシスや、スケクシスの軍団長が統率するカブトガニのような戦闘集団ガーシムという、悪役連中に目が行きます。
スケクシスと対を成す温厚なミスティックの造形も良く出来ていますが、悪の魅力には負けているのはやむを得ないか。
そして彼らだけではなく、画面に一瞬しか映らない多種多様な生物も見所です。
特に森の描写は素晴らしい。
小さな生物や不思議な植物などが登場し、いちいち目を楽しませてくれます。
世界の作り込みという点では『アバター』の元祖なのかも、と思いながら観ていました。
世界観に寄りかかり過ぎて内容が平板なのも共通しています。


特筆すべきはトレヴァー・ジョーンズのスコア。
メインテーマを使い回し過ぎるマイナスもあるものの、音楽に耳を傾けると、壮大、流麗、邪気、陽気といった単語が思い浮かびます。
ジョーンズはジョン・ブアマンの秀作『エクスカリバー』注目を浴びましたが、同作はオルフやワーグナーなどのクラシックが目立っていました。
本作が本格的な注目作だったと考えても良いでしょう。
後に『暴走機関車』や『ラスト・オブ・モヒカン』、『クリフハンガー』といった秀作音楽も書きますが、私は未だに初期のこの映画が彼の最高傑作だと思っています。

Dark Crystal: 25th Anniversary - O.S.T.

Dark Crystal: 25th Anniversary - O.S.T.


映画の企画は、ルイス・キャロルの詩の絵本にあった、めかし込んだワニをの挿絵を見たジム・ヘンソンが、爬虫類が天下を取る世界のプロットを思い付き、フランク・オズが躁演したヨーダを観て新しい映画の可能性に気づいたプロデューサーのゲイリー・カーツと組んだところから始まったようです。
ここら辺、Blu-ray Discの豊富な特典映像でも語られているかも知れません。
カーツはジョージ・ルーカスと袂を分かってから、ヘンソンとは本作と『ラビリンス/魔王の迷宮』で組んでヒットを飛ばしましたが、その後は失敗作を重ねて破産したりで大変だったようです。
が、近年はまたテレビプロデューサーとして復活しているようで良かった良かった。
ルーカスの『スター・ウォーズ』も、カーツと別れてからの『ジェダイの復讐』以後は内容もそれまでよりも落ちるので、お互いに痛手だったように思えます。
もっともこの頃から、ルーカスは批評・批判する者を外部・内部問わずに排除していくので、本人は無自覚かも知れませんが。


BDとしての画質ですが、1982年という製作年度を考えると十分でしょう。
やや解像度は甘めでも、カラフルな世界が再現されていて感動しました。
音質も新作と比べるのは可愛そうですが、ベン・バートによるサウンド・デザインが異世界創りに貢献しているのがよく分かるので、十分及第点でしょう。
サラウンドは音楽中心ですが、時折背後から聴こえて来る音もあります。
特典映像はDVD-VIDEO版と同じものが多いようですが、未見ですので楽しみにしています。
気になるのは「オリジナル・ワークプリント」。
どんなものなのでしょうか。
こちらも期待しています。


さて、私が1983年夏から購読するようになったSF専門誌『スターログ』でも、本作の特集を組んでいました。
1983年4月号がそれです。

シド・ミードの特集も組まれています。
書店からバックナンバーを取り寄せたものが実家にあったので、この機会にこれだけ持って来ました。



後に東京国際ファンタスティック映画祭プロデューサーになる映画ジャーナリスト小松沢陽一氏による、ジム・ヘンソン、人形振付師ジャン・ピエール・アミエル、ゲイリー・カーツへのインタヴュー記事。

ブライアン・フラウドのアートワーク紹介。


そしてそして、見開き2ページで漫画家たちの対談が載っていて、そのメンバーが豪華なのです。

「『風の谷のナウシカ』を連載中の宮崎駿さん、『日出処の天子』を連載中で『妖精王』というやはりファンタジーの傑作を描かれた山岸涼子さん、そして怪獣やグロテスクなものに目が無い、『夢幻紳士』の高橋葉介さん」との紹介から時代を感じます。
今だったら実現出来そうもない顔ぶれですが、この3人が色々と喋っていて非常に面白い。




各人面白い事を言っていて、「主人公がモタモタして、娘にナントカをほどくのよといわれてね。棒立ちで、ああいうのガマンできないですね(笑)」(宮崎)、「トッポ・ジージョ思い出しちゃった(笑)」(山岸)、「そういえばスケクシスってビッグバードですね」(高橋)などと言いたい放題。
特にコメントの面白さで群を抜いているのが宮崎駿で、その発言内容も後の彼自身の映画とダブるところが多く、非常に興味深かったです。
あぁ、この人は首尾一貫しているんだな、と。
対談採録の最後によると、『ゲド戦記』から学校給食の話題まで、話はどんどん脱線して行ったそうですが、そこら辺が採録されなかったのが残念です。


そして思い出したのですが、公開当時のパンフレットの表紙。
アメリカ版ポスターと同じ絵柄なのですが、有名なイラストレーターのアムゼルの筆によるものでした。


ブライアン・フラウドのアートワーク集です。
友人が持っていたのはこちらです。

WORLD OF DARK CRYSTAL

WORLD OF DARK CRYSTAL

版を重ねたことからも、この映画の根強い人気が分かりますね。
The World of the

The World of the "Dark Crystal"