days of cinema, music and food

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Hidden Figyures

Hidden Figures
映画『ドリーム』を鑑賞しました。
この映画、公開前から邦題でミソを付けた映画でもあります。
原題は「隠された数字」「隠された人たち」のダブルミーニング
内容は1960年代初頭、アメリカ初の有人宇宙計画であるマーキュリー計画の裏側で、実はNASAの黒人女性計算士たちが活躍していた、というもの。
それを20世紀フォックスは最初『ドリーム 私たちのアポロ計画』としましたが、アポロ計画ではなくその前の前のマーキュリー計画を描いているのに変じゃないか、とSNSで炎上。
数日後に副題が無くなり、単純に『ドリーム』となったお粗末です。
でもこの「ドリーム」だとネットで検索しても他にいっぱい引っかかるので、余り上手くない題ですね。
ネット社会ではもっと検索に引っかかる邦題でなければならないのに、時流を読んでいる筈の宣伝部がこの体たらくではなんともはや…。


さて肝心の映画は、米ソ宇宙開発競争を描いた傑作『ライトスタッフ』の更に裏側を描いたもの、と言って良いでしょう。
これが超面白い。
天才たちが目標に向かって進む姿を観るのは痛快爽快です。
人種差別と女性差別と戦いながら、毅然として前を向く彼女たちを応援したくなる。
本当に素晴らしい映画でした。
セオドア・メルフィという監督はまるで知らなかったのですが、ユーモアを交えながらがっちりとシリアスなテーマも描き、心に残る描写も多い。
特に広大なNASAの敷地内に1つしかないという有色人種専用トイレに、ヒロインである数学の天才 キャサリン・G・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)が劇中で幾度も幾度も往復するその執拗な描写が強烈です。
人種差別と女性差別という問題を現代のアメリカも抱えているのですから、今の時代に作られる意義は十分にあるのですから。


天才計算士タラジ・P・ヘンソンだけではなく、管理職を目指すドロシー・ヴォーン役オクタヴィア・スペンサー、エンジニアを目指すメアリー・ジャクソン役ジャネール・モネイらも良かった。
ヴォーンの上司役であるアル・ハリソン役ケヴィン・コスナーは、マーキュリー計画推進への執念が感じられ、その為には人種や性別ではなくその能力での人材起用を図る公平な人物としてカッコよく描かれていました。
キャサリンのボーイフレンド役マハーシャラ・アリは『ムーンライト』での好演も印象に新しかったので、やはりこちらも印象に残ります。


ライトスタッフ』でも目立っていたジョン・グレンはこちらでも目立つ描かれ方をされていて、『ライトスタッフ』を観ていて良かったと思わせる、これは秀作なのです。
機会がありましたらお見逃しなきよう。